文字から思い込みを知る(その3)

思い込み3、欠点は克服しなければならない

まず、「欠点」とは何なのでしょうか? 

それは絶対的なものなのでしょうか? 

公共の福祉に反するものは別として、

例えば、あがり症でプレゼンや発表の時、うまく言葉が出てこなかったり、

くよくよするタイプで、ちょっとした外部からの刺激をマイナスに受け取ってしまったり、逆に、行動力が旺盛すぎて周囲を振り回したり、空気を読めなかったり、思ったことを言わなければ気が済まなかったり…

このようなことは、人から指摘されたり、

自分自身で反省したりして「やらかしてしまった、直さなければ」と思ったりしても、

 

前者のあがり症の人であれば、

プレゼンに備えて言葉を出やすくする工夫をするなどの

危機管理能力を発揮できるだろうし、

後者の行動力旺盛な人であれば、突発的なアクシデントをモノともせずに、

自分の意見を堂々と言うことができるでしょう

 

考え方や時と場合によっては欠点が長所となる場合だってあるわけです。

なので、「欠点」だと思っているものの中には、

別に直す必要のない、自分の個性そのものが含まれているかもしれないのです

「欠点」という言葉でくくらずに、

「その欠点だと思っているもの」は

相対的なものかもしれないとの視点は必要だと思います

なぜかというと、

そこを間違うと、自分を見失って苦しむことになりかねないからです

 

ネガティブ思考で引っ込み思案を直したいという筆跡診断のお客様の話です

その方は周りからネガティブだと指摘されて、確かに自分でもそう思う、

だからそれを直したい、というわけです。

一見、別に何の不思議もない当たり前の相談なのですが、その方の文字は、

①字が小さい、②払いを止める、③へんとつくりの間が狭い、⑧あて名書きが右にズレる、の4コンボでした(参照 主要な文字の特徴)

図にも記してある通り、

これは、「内向的、閉鎖的、自己抑制、心配性」といった、

ネガティブ思考のお手本のような組み合わせです。

 

その方自体は、インドア派の趣味をお持ちで、

行動範囲は狭いのですが、

自分の内面を充実させたいとおっしゃっていたので、

別にその人的には、その内向的スタイルを変える必要性を感じてはいないのです

ただ、人から指摘された時、

確かに「それは自分の欠点」だなと思ったので、

変えたいと思ったというわけでした

 

この場合、③と⑧くらいは、筆跡改善できると思いますが

①と②に関しては筆跡を変えることじたいが

大きな精神的負担となる可能性があるでしょう

なぜなら、そこはそう簡単には直らない部分、

持って生まれた気質の部分だからです

人から言われて簡単にそう思い込んだだけであって、

言われた通りにどんどん行動範囲を広げて、

無理にプラス思考をすると、逆に苦しくなってしまうでしょう

このように、本来の自分らしさを知っていれば、

「それは私らしさ」「直すことは考えていない」と、

迷うことも悩むこともないはずです。

 

人前で話すことが苦手な人はたくさんいます

だけど、他の手段で伝える方法や工夫はあるはずです

最初にあげた、あがり症でうまくプレゼンできない人も、

上手な人と自分を比べるからではないのでしょうか? 

話すのが苦手な人は、

もしかしたらそれが自分らしさかもしれないと考えてみてください

逆に考えると、ペラペラ言葉が出てくる人っていますよね? 

その場合は、すんなりその人の個性だからと思えるのではないでしょうか

それと同じことなのです

ペラペラ言葉が出てこないほうが、誠実さや武骨さが伝わることだってあるのです

 

どうしても個性が絡む苦手分野では、100点を目指すのではなく、

70点くらいを目指すのがいいのだと思うのです

しゃべりが苦手な分、書くのが得意であれば、

資料に自分らしさを出していけばいいのではないでしょうか

ほとんどの人が、

自分を成長させるためには「欠点を克服しなければならない」と考えているでしょう

しかし、人は十人十色で、得意分野も不得意分野も異なっています

それは、みな同じ位置からのスタートではない、生まれ持った性質、育った環境

親からの遺伝などを含んでいます

つまり人から「欠点」と指摘された、

あるいは自分で「欠点」と思っている部分は、

「自分の変えることのできない個性かもしれない」、

という視点を持つ必要があるのです